魔王②
感想
巨大な勢力と、それに抗う特殊能力を持った一般人という少年漫画的な構図が面白い。
安藤の持つ能力自体は現実味がないが、安藤を取り巻く環境は現実味を十分に帯びている。
カリスマ性のある若い政治家に惹かれて軽いファシズム国家になるのは日本でもあり得るし、事実いまもそうなのかもしれない。
また、『魔王』のなかでは宮沢賢治の詩がいい味を出している。
彼の詩が作中で引用されることにより、作品にメリハリが出て、ラストシーンの美しさにもつながっている。
『魔王』は、続編として『モダンタイムス』という長編作品が出されている。
そちらも読んで、『魔王』の不思議に感じた部分などが補われていて読後非常に満足感が強かった。
『モダンタイムス』についてもまた記事を書きたいと思う。
興味がある方はぜひ。