陽気なギャングが地球を回す②
感想
いろいろなところで称されているように、とにかくテンポがいい。すいすいと流れるように事件が起き、ちょっぴり収まり、また事件が起きる。
そのテンポの良さと抑揚が心地よい。間違いなく読んでいて飽きさせないし、予想させないし、最後まで一気に読めてしまう。
わたしは伊坂幸太郎作品が結構好きなのだけれど、他の作品では伏線回収の気持ちよさが一番気に入っている。ただ、この作品は(もちろん伏線も最高なのだけれど)出て来るキャラクターが全員魅力的なので、とてもお気に入りの一冊になっている。
中でも響野というキャラがいる。あらすじで、演説の達人と言われていた中年男性だ。彼は口を開けば嘘ばっかりというお調子者キャラなのだが、それでも喧嘩が強かったりクレバーな一面があったり、そのギャップは魅せて来る。
また響野は「嘘を見抜く名人」であり、銀行強盗グループのリーダーである成瀬の幼馴染であり右腕でもある。行動も性格も正反対な二人の関係がまた面白い。
このように『陽気なギャング』シリーズでは、個性的なキャラクターが、お互いの個性を殺すことなく生かし合って共存している。
三作目まで出ているこのシリーズ、キャラクターに注目しながら読み進めるとハマると思います。ぜひ。