重力ピエロ②
感想
書き出しの「春が二階から落ちてきた。」という一文が強烈なインパクトを与える一冊、『重力ピエロ』。
この作品は『オーデュボンの祈り』や『ラッシュライフ』のように、ラストシーンで大きな伏線回収、どんでん返しというよりは、小出しで伏線を拾って、謎を解いていくという印象を受けた。
わたしはグラフィティアートの頭文字と遺伝子の並びが一致するシーンが最も感動したし、ぞくっとした。
映画の方は、話題にはなったけれどまだ見たことがないので、春休みにでも見てみたい。
個人的には書き出しの一文と書き終わりの一文が同じだったり、書き出しに出てきたシーンが最後と繋がる小説が好きという趣味があるので、『重力ピエロ』はそういう意味でも好きな作品です。
興味のある方はぜひ。
ラッシュライフ②
感想
①の投稿にも書いたように、わたしは伊坂幸太郎の作品のなかで『ラッシュライフ』が最も好きだ。
わたしは伊坂幸太郎作品の好きな、そして憧れているポイントとしてさりげない伏線の張り方と、その回収の美しさがある。
伊坂幸太郎のデビュー作『オーデュボンの祈り』でもたしかに伏線とその回収があるが、二作目の『ラッシュライフ』ではその精度が非常に上がっていると感じる。
また、『オーデュボンの祈り』ではラストシーンで新しく明らかになる事実が多いのに対して、『ラッシュライフ』ではほとんど作品中に出てきたことだけでラストシーンに繋がっている。
だからそのぶん伏線回収が多くなるので、読んでいるときに気持ち良い。
またこの作品に登場する泥棒の「黒澤」は、他作品にも時々登場するので、覚えておくと楽しめると思う。
陽気なギャングが地球を回す②
感想
いろいろなところで称されているように、とにかくテンポがいい。すいすいと流れるように事件が起き、ちょっぴり収まり、また事件が起きる。
そのテンポの良さと抑揚が心地よい。間違いなく読んでいて飽きさせないし、予想させないし、最後まで一気に読めてしまう。
わたしは伊坂幸太郎作品が結構好きなのだけれど、他の作品では伏線回収の気持ちよさが一番気に入っている。ただ、この作品は(もちろん伏線も最高なのだけれど)出て来るキャラクターが全員魅力的なので、とてもお気に入りの一冊になっている。
中でも響野というキャラがいる。あらすじで、演説の達人と言われていた中年男性だ。彼は口を開けば嘘ばっかりというお調子者キャラなのだが、それでも喧嘩が強かったりクレバーな一面があったり、そのギャップは魅せて来る。
また響野は「嘘を見抜く名人」であり、銀行強盗グループのリーダーである成瀬の幼馴染であり右腕でもある。行動も性格も正反対な二人の関係がまた面白い。
このように『陽気なギャング』シリーズでは、個性的なキャラクターが、お互いの個性を殺すことなく生かし合って共存している。
三作目まで出ているこのシリーズ、キャラクターに注目しながら読み進めるとハマると思います。ぜひ。
陽気なギャングが地球を回す①
伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』祥伝社文庫(平成18年)
あらすじ
「嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!」
(背表紙より引用)
黄色い表紙で、書店でもよく目立つこの一冊。
大沢たかお主演で映画化もされた。
また、伊坂幸太郎の作品では珍しい続編の出版もされている。
感想はまた次の投稿に書きます。
andymori③
引き続きandymoriの好きな曲を紹介します。
不思議なタイトルのこの曲「グロリアス軽トラ」は、「ファンファーレと熱狂」というアルバムに収録されています。
2010年のアルバムであるため、andymoriの活動の前半に出された曲と言えます。
グロリアス軽トラは縦にぴょんぴょん跳んでノリながら聴きたい、リズムがいい音楽になっています。
歌詞冒頭を引用します。
“
地面には五匹の生き物がいる
一匹は天使 一匹は人間
一匹は悪魔 一匹は豚
そしてカボチャのおばけ
“
この五匹の生き物は何を表しているのか?
どうして動物の中で人間と豚だけは区分されているのか?
不思議に思うところがたくさんあります。
わたし的には、人間もその中からこの五つのどれかしらに分類される気がするなあと感じます。
わたしはカボチャのおばけかなあ、とも。
この曲はandymoriの中でも特にゆるくて不思議な歌詞が並んでいるので、考察してみても面白いと思います。
興味を持った方はぜひ聴いてみてください。