死神の精度②
感想
映画化で有名になったこの作品『死神の精度』。
死神というちょっとファンタジー的な要素だが、これがとてもよくリアルの世界に溶け込んでいる。
死を共通のテーマにしているが、感動系もあればハラハラするような話もあり、六つの人生でさまざまなパターンが楽しめる。
また、死神は基本的に死ぬことに対して「可」を出すのがセオリーというルールがあると書かれており、実際作品中でもほとんどすべて「可」が出される。
魅力的なキャラクターだから感情移入してしまうので、「可」が出されたときは少し複雑な気分になる。
この作品に出てくる「千葉」も、以降他の作品に登場することがあるので、覚えておくと面白いと思います。
興味のある方はぜひ。
グラスホッパー②
感想
伊坂幸太郎の作品の中でわたしが初めて読んだのが、この『グラスホッパー』である。
あらすじにも書かれているように、『グラスホッパー』は爽快感というか疾走感が強い作品であると感じる。
しかしもちろんそれを支えているのはそれぞれの登場人物の個性であり、ひとりひとり被りがない。
また、登場人物同士の会話もテンポがよく、機知に富んでいる。
個人的に好きなのは、鯨と蝉が出会うシーンだ。やり口は別だとしても、第一線を行く殺し屋の二人が交わる瞬間はやはり興奮する。
殺し屋という物騒なテーマを用いているため、他の作品より若干じめっと暗い印象も受ける。しかしキャラクター性や、駆け抜けるように進む物語が面白いので、興味がある方はぜひ。
チルドレン②
感想
陣内のキャラクターが主人公気質で、好感が持てる。
また、陣内の周りの集まる人々のキャラクターが、陣内と対照的で、それがまたお互いの良さを引き出し合っている。
クレバーな幼馴染や盲目の友人が登場して、もちろん陣内に振り回されるのだが、それにもお互いの人柄が濃く表れている。
個人的にとても好きなのは、家庭裁判にかけられた心を開いてくれない少年に、家裁調査官が渡した『侏儒の言葉』である。
ただの太宰治が書いた『侏儒の言葉』ではなく、陣内が公衆トイレで見つけた落書きが書き込んであるのだ。
そのうちの一つに『女子トイレは迷路になってんのかよ! 時間が止まってんのかよ!』という言葉があり、とてつもない共感を覚えて思わず笑った。
本当に女子トイレの列って異常ですよね。あそこだけ異空間としか思えない。
『チルドレン』には続編の『サブマリン』という作品がありますが自分はまだ読んでいないので、これもまた読んでみたいです。
興味のある方はぜひ。