ねむるだけ

主に読んだ本について。ほぼ全記事ネタバレを含みます。

魔王①

伊坂幸太郎『魔王』講談社文庫(2008)

 

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

 

 

あらすじ

会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。あたらなる小説の可能性を追求した物語。

(単行本 裏表紙より)

 

感想は次回に。

死神の精度②

感想

映画化で有名になったこの作品『死神の精度』。

死神というちょっとファンタジー的な要素だが、これがとてもよくリアルの世界に溶け込んでいる。

死を共通のテーマにしているが、感動系もあればハラハラするような話もあり、六つの人生でさまざまなパターンが楽しめる。

また、死神は基本的に死ぬことに対して「可」を出すのがセオリーというルールがあると書かれており、実際作品中でもほとんどすべて「可」が出される。

魅力的なキャラクターだから感情移入してしまうので、「可」が出されたときは少し複雑な気分になる。

この作品に出てくる「千葉」も、以降他の作品に登場することがあるので、覚えておくと面白いと思います。

興味のある方はぜひ。

死神の精度①

伊坂幸太郎『死神の精度』文春文庫(2008)

 

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

 

 

あらすじ

①CDショップに入りびたり②苗字が町や市の名前であり③受け答えが微妙にずれていて④素手で他人に触ろうとしない――そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者に死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。

(単行本 裏表紙より)

 

感想は次回で。

グラスホッパー②

感想

伊坂幸太郎の作品の中でわたしが初めて読んだのが、この『グラスホッパー』である。

 

あらすじにも書かれているように、『グラスホッパー』は爽快感というか疾走感が強い作品であると感じる。

しかしもちろんそれを支えているのはそれぞれの登場人物の個性であり、ひとりひとり被りがない。

また、登場人物同士の会話もテンポがよく、機知に富んでいる。

 

個人的に好きなのは、鯨と蝉が出会うシーンだ。やり口は別だとしても、第一線を行く殺し屋の二人が交わる瞬間はやはり興奮する。

殺し屋という物騒なテーマを用いているため、他の作品より若干じめっと暗い印象も受ける。しかしキャラクター性や、駆け抜けるように進む物語が面白いので、興味がある方はぜひ。

グラスホッパー①

伊坂幸太郎グラスホッパー』角川文庫(平成十九年)

 

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

 

 

 

あらすじ

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに――「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!

(単行本 裏表紙より)

 

感想は次回で。

チルドレン②

感想

陣内のキャラクターが主人公気質で、好感が持てる。

また、陣内の周りの集まる人々のキャラクターが、陣内と対照的で、それがまたお互いの良さを引き出し合っている。

クレバーな幼馴染や盲目の友人が登場して、もちろん陣内に振り回されるのだが、それにもお互いの人柄が濃く表れている。

個人的にとても好きなのは、家庭裁判にかけられた心を開いてくれない少年に、家裁調査官が渡した『侏儒の言葉』である。

ただの太宰治が書いた『侏儒の言葉』ではなく、陣内が公衆トイレで見つけた落書きが書き込んであるのだ。

そのうちの一つに『女子トイレは迷路になってんのかよ! 時間が止まってんのかよ!』という言葉があり、とてつもない共感を覚えて思わず笑った。

本当に女子トイレの列って異常ですよね。あそこだけ異空間としか思えない。

『チルドレン』には続編の『サブマリン』という作品がありますが自分はまだ読んでいないので、これもまた読んでみたいです。

興味のある方はぜひ。

チルドレン①

伊坂幸太郎『チルドレン』講談社文庫(2007)

 

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

 

 

感想

「俺たちは奇跡を起こすんだ」

独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々――。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

(単行本 裏表紙より)

 

家裁調査官の陣内と、彼を取り巻く周囲の人々のお話。

 

感想は次回で。